ライラック色の思い出_安房直子さんの童話に。

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薄紫色。
ライラック色。

優しいこの色に包まれたくなるのは、少し疲れた時。

 理屈抜きに頭を撫でてもらえるような...
 根拠なくても大丈夫だよって云ってもらえるような...

おばあちゃんが好きだった色のせいか、
その温もりを思い出させる色。。




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薄紫色...ライラック色に纏わる思い出を、
今日は少し書いてみます。。


祖母から受け取った習慣のひとつに、
読書 があります。


42歳に半身不随になって、
( 今のワタシと同じ年なのですねぇ... )
ベッドに居ることの多かった祖母は本好き。
そんな祖母と
幼い頃ずっと一緒に過ごしていましたので、
いつも、本を読んでもらうのが日課。

小学校に入り、図書館で本を借りてくるようになると、
素敵な本を見つけては、祖母と一緒に読んで、
感想を云い合うことが楽しみでした。

記憶のなかに残っている本。

何かの拍子で堪らなく懐かしくなり、
また手元に置きたくなることがあります。

↓ この2冊もそんな本。

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2冊とも、安房直子(あわなおこ)さんという童話作家の方の本。

「 ライラック通りのぼうし屋 」という本は、
小さい頃、本当に大好きで大好きで...
しょっちゅう、図書館で借りては読んでいた本です。

文章に出てくる 'ライラック' という花の響き。
見たこともないけれど、甘く匂い立つような木の花。

この本で知った花でした。

R0250006s.jpg

挿絵から、美しい木の花だということが判ります。

このお話に出てくるのが、ヒツジ。
そのヒツジが営む小さなお茶の店のメニューにある、、

 にじのかけら
 ゆうやけぐも
 ごがつのかぜ

というお菓子の名前。

- まるで、シャーベットのような、七色のたべものが、のっていました。
- ぼうし屋は、目を しばしばさせながら、それを たべてみました。

- にじのかけらは、ライラックの 花のにおいがしました。
- あまくて、さっくりしていて、
- まるで むかしの おもいでを たべているようなかんじです。

...この美味しそうな描写の様子に、
何度、喉を鳴らしたことでしょう。。(笑)

高校生の頃かな...

リラ冷えの街という本を読んだとき、この本を思い出し、
堪らなく懐かしくなって、
直江津の町の本屋さんで取り寄せて購入。

それからずっと捨てずに持っていました。。

時折読み返していましたが、
大人になって読んでも、、
当時と変わらない文章の輝きが、
その度、心に響いてきました。

もう一冊の大好きな安房さんの童話。

↓ それは、こちら。

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「 北風のわすれたハンカチ 」

これは、幼い頃、買ってもらって本を持っていたので、
本当に何度も何度も繰り返し読んだ本。


実家に置いてあるとばかり思っていたのですが、無い!

amazonで探すと、かなり高額な値段で取引されていたので、
復刊されないかなぁと、ずっと願っていて、、
最近、文庫版で復刊されたことを知り、早速購入。

久々に読んで、童話だけれど、深い深いモノを感じました。。。

安房さんの本は、童話ですが、
オモシロオカシイ愉快なお話ではありません。

ライラック通りのぼうし屋も、
生活に疲れ人生に疲れたぼうし屋ですが、
物語の最後には、帽子屋としての本当の意味に気付きます。

北風の忘れたハンカチも、
やるせないどうにも出来ない孤独や寂しさが垣間見えます。

てっぽうで家族を皆殺しにされた、
天涯孤独の 'クマ' につけ入るような、
意地悪い大人たちが出てきますが、、最後は、心が洗われます。。

北風の女の子が作ってくれるホットケーキの描写。
その女の子がくれた、幸せな時間と、雪の歌。

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懐かしさで胸がいっぱいになりました(*^_^*)

他の二篇も、本当に懐かしかった。。

「 小さいやさしい右手 」
'ゆるす' ということの意味。

世の中、悪いことばかりじゃないョと、本から教えられ、、
感想をとりとめなく話し合いながら、
おばあちゃんからも昔話などしてもらって、
そのコトを、幼心にも噛みしめたことを思い出します。。。

安房さんの本は、他も読んだことがあるかしら?と、
先日図書館で、「 風と木の唄 」 を借りて読んだ際、
巻末の解説文がとても良かった。

( 前文略 ... )

- いちど、そういう物語を読むと、
- 日々の生活のなかにはめこまれたちょっとした瞬間に、
- ふっと思い出すことがあります。

- この海はあの物語のなかで感じた海に似ている、とか、
- この林の雰囲気は、あの童話からうかんできたものとそっくり、とか。

- 言葉による表現というものは、
- しっかりと受けとめられて心の底に深くとどくと、
- そんなふうにして、生きなおされるものなのです。

- それは、読んだ内容を思いだしたから楽しいとか、
- 記憶に残ることで日本語の語彙がふえるとかいうことではありません。
- 心の底にとどいた言葉が、予期しない瞬間に生きなおされるとき、
- それはその人の生を柱のようにささえるものとなります。

- 『風と木の歌』におさめられた八篇の童話は、
- どれも体の底に響く深さをもっています。

- 幸せ、悲しみ、じぶんの力ではどうにもできないものを受けいれること、
- 信じること、うらぎること、うれしいこと、楽しいこと。
- 生きていくということのすべてを抱きしめるような
- これらの童話にあるものは、なんだろう、と考えます。
- いったい、なんだろう、と。

- それは、たぶん、勇気のようなものなのだと思います。
- じぶんの目の前でおきていることや
- じぶんがおかれている状況から目をそらさない勇気のようなもの。
- つらい、とか、いやだ、とか思うほんのすこし手前で、
- 目をそらさずに見つめる勇気のようなもの。

- 大きな場面ではなく、むしろ小さな、見逃されてしまいがちな場面でこそ、
- 見つめるチカラはしっかりとはたらくものなのかもしれません。

( 中文 略 ... )
- 動かしようのないできごと、どうにもならないこと、受け入れるしかないこと。
- 生きていれば、誰の身にもふりかかる哀しみの感情を、
- 作者は、避けるのではなく、両手で受け止めようとしています。

( 後文 略 )

 以上、 「風と木の歌」 偕成社文庫 
 解説 蜂飼 耳 
 より 抜粋させていただきました。

安房さんの童話に惹かれる 理由 に気付かされました。
なるほどぉ...と。。
だから、こんなに響くのかぁと、腑に落ちました。

読書することで、物語の世界に行くことが出来ても、現実は変わらない。。

でも、カタチは違えど、
物語の中で起こる出来事を自分に置き換えて、
優しさに戻れる気持ち や 強くなれる勇気 
を、もらったりすることは、実際にありますよね。
...上手く言えませんが...(^_^;)

そうそう!
驚くことに、いいひの施主さんにも、
安房さんファンがいらっしゃいます。。

現場進行中、
アクセントウォールの色の話から、ライラック色の話が出て、
ライラック通りのぼうし屋さんの話になって、発覚。。

嬉しいオドロキでした(*^_^*)

心の琴線が触れるポイント...
同じ価値観を共有できるって、
本当に仕合せだと感じます。。

そんな方とは家づくりが終わっても繋がっていられる。。
本当に有難いことですね。。

さてさて、

安房直子さんの全集もあることを知ったので、
図書館で借りて、毎晩少しづつ読んでいます。

 本を読むこと...
 
文章を読むこと...

秋は読書にぴったりな季節。

あゝでもでも、仕事も捗らせないと...(>_<)

ブログ書いている場合じゃないのに、
心がざわついて鎮まらなかったので、つい逃避。。(^_^;)

イロイロ在るのは当たり前なので、
イチイチ凹んでないでガンバリマーーーーース!


 読んで下さった皆さまにとって
  素敵な 'いいひ' が訪れますよう...   

  家での暮らしが心地よいことが
  住む人の幸せに繋がります!!
  心を込めて♪ (出美)


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Comments [4]

いいひさん、こんばんは!
「北風のわすれたハンカチ」、持っていました!
ブログの文章を読む前に、 表紙の画像が目に入り、懐かしい~~!!となりました^^
「リラ」とか「ライラック」という言葉が題名に入っている本を見つけると、
つい反応し、手にとってしまっていたという記憶もアリ(^m^)

特に心がやわらかいときに読んで、強く受け取ったことは、
自分の一部となっているのだなぁと思うことがあります。
いいひさんとは、子ども時代に好きで、読んでいた本がすごく重なっていて、驚きます。

安房直子さんは、本当にすごい方なのですね。
本に深い深いものを入れ込むという才能が、ライラック通りのぼうし屋や北風の忘れたハンカチを作り出したのですね。
私も読んでみたいです。感動しました。ありがとうございました。

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プロフィール

写真:牛尾 出美

一級建築士
牛尾 出美
(ウシオ イズミ)

1973年2月生まれ。暮らしと家が大好きな女性建築士。東京都江東区のリノベーションしたSOHOマンションで住宅設計事務所を運営。
シアワセを感じるコト&モノは、猫・カメラ・旅・花・珈琲・映画・読書♪

いいひ住まいの設計舎 一級建築士事務所

代表:
牛尾圭一、牛尾出美
資格:
一級建築士2名
構造設計一級建築士1名
一級施工管理技士1名
住所:
東京都江東区東陽2-3-1-106
電話:
03-3648-5711
FAX:
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