新建材と自然素材

k_tei.jpg  

K邸リフォームがもう少しで完成です!
その過程でも色々なことを学ばせていただきました!!


ひとつは、自然素材を使うことの難しさ。。。です。


自然素材は、その材の性質や状態によって、
出来上がりの表情を大きく変えます。

そのことは分かっていて細心の注意を払っても、
仕上がり具合が状況によって変化します。

同じ木、同じ仕上塗材でも、例えば選択した色によって
想定外の仕上がりの不具合が出てくることが今回分かりました。

なるほど、つくり手側(施工者)が
極力自然素材を使いたがらないというのも頷けてしまいます。
私も前職の住宅会社では新建材の家を多くつくってきました。
でも 「何かが違う」 と、ずっと思っていました。

新建材は、日本の家づくりを大きく変えたと思います。

 狂わない
 反らない
 メンテナンスフリー
 工期短縮
 均一の品質

多くは、家づくりの背景にあるクレームを解消すべく出来たもの。
「早くて安い家づくり」には欠かせない便利な建材でした。

でも、万能なはずの新建材の家も、結局クレームは出るのです。。。
なぜなら新建材の床・建具・造作材は、出来たときが一番美しく
その後はどんなに気をつけていても、後は朽ちていくしかないからです。

例えば、前職では、現場監督もしていたので、
クレームがあるとお客様に呼ばれます。

新築後たった5年で、建具のシートがはがれる。。。
床に傷がつき、下地の合板までえぐれて、水を含み膨れてきてしまっている。。。

たった5年普通に暮らしているだけで、
こんなにも朽ちてしまうものを使うのはおかしいのではないか??
お困りになるお客様を前にそう疑問に思っていました。


KICX4841.JPG

↑ 無垢フローリングと複合フローリング (断面の違い)

仕上に使う新建材は傷がついたら最後。

補修することで元の姿に戻すしかありません。
補修のプロを呼んで、一箇所に数万円のお金をかけて
新築当時の状態に戻すべく補修するのです。。。
( 確かに彼らは上手!でも高すぎる、、、)

だから傷つきにくいフローリングや、
30年保証のコーティングなるものも、
世の中に次々と沢山出ていますね。

まるで、クレームとのいたちごっこのように。。。

結局お客様も、建てる当時は、新建材という選択肢しかなかったから選んだだけ。
もし違う選択肢があったなら、そちらを選んだのかもしれない。
という後悔のお気持ちをクレーム処理に伺った際に伝えられたことがありました。。。

でも私は今でも、新建材を使います。
やはり便利なものですし、欠点だけではない長所も多々あります。
予算とのバランスや、新建材を使ったほうがいいところには採用しています。
今回のK邸でも水周りは、水に強い新建材の床を使いました。

どちらが良いとは云えないので
偏らず適材適所に使うようにしているのです。。。

でも、ひとが触れる仕上材まで新建材を極力使わないようにしています。

家は、永く住まうもの。

毎日の暮らしの中では、床に傷もつきますし、壁だって汚れます。
そのときに、新建材はワビシイ古び方をします。
同じように自然素材でもモチロン古びますし、傷はつきます。
けれど、その傷や汚れが、時を経たものだけが持つ味のある美しさになります。

上手に新建材と自然素材を使い分けしていけたらいいなと思います。

工期や予算の問題やメンテナンスで使いづらい面が多々ある自然素材。

K様には、そのところをご理解いただいて
今回は、ナラの無垢板。塗り壁を採用しました。

どんなにこちらが自然素材の良さを勧めても
施主様のご理解いただけないと使うことが出来ません。

なので折角自然素材を採用していただいた
K様ご夫婦に「良かった~」と仰っていただけるよう
完成まで頑張りたいと思います!!

理想を貫くことは難しいことが多々ありますが
諦めないで、自分の建築士としての良心を信じていこうと改めて思った1週間でした。
それには、日々勉強ですね♪♪

今度8月から始まる新たなリフォームの現場でも、苦しみ進行中。
予算との折り合い、、、にです。

そのお宅は築13年のお宅。
お子さん4人、総勢6人のにぎやかなご家族です。
新建材をばっちり使ったそのお宅で、一番居心地の悪いお部屋を
下のお子さんふたりのお部屋にすることが目的です。

さあどうなりますか。。。

またお伝えしていきますので覘いていただけるとシアワセです♪ (出美)

Comments [2]

いいひ様、おはようございます。
2年以上前の記事にお邪魔いたします!(笑)

私が住宅営業をしていた頃の古い記憶が蘇ってきました。

自然素材のモデル住宅を初めてご覧になるお客様にご案内していたときのこと。
ふつうは自然素材のメリットから話す営業が多いのでしょうが、
私の場合はデメリットからよく話しておりました。

わざわざ隙間や反っている部分、補修後を見せたりして、
どんなに気をつけていても、自然素材を使うとこうなるよ・・という部分を説明していました。(笑)

自社で使っている素材のデメリットを淡々と話し続ける営業部長の私と、呆気にとられるお客様・・。(爆)

それを一通り話し終わった後に、こう付け加えていました。
「でも・・・、やっぱり好きなんですよね。
 自分の家だったら、こういう自然素材を使います。」

もちろん、それからはメリットのお話や、私の考え方をお話ししておりました。
この説明を聞いた後、そのお客様の選択肢から新建材は完全になくなりました。
また、自然素材に関するクレームも一切なしで、むしろとっても喜ばれました。

単に話す順序を変えただけなんですが、
自然素材の良さをより一層伝えられる一つの方法かもしれませんね~。

ついつい独り言を書いてしまいました。
いつも素敵な記事を読ませていただき、ありがとうございます!!

テリー様

おはようございます!

お話する順序を変えてみる・・・
今では、、、テリーさんの仰る「意」とても解ります~!!!
この頃はそれが分かっていなかったんですね。(^^;)

ついつい新建材のデメリットばかり。。

住宅会社勤務時代の新建材へのクレームが
自分のなかにフォーカスされていたので
こんな記事になったのだと思います。

わたし自身、新建材完全否定ではないし、、
自然素材をつかうリスクと欠点は経験済み。

今は、新建材も自然素材も両方、
ダメダメなところを存分に知っていただいたうえで、、、
良さをお伝えして、、
それでも好き!!!って仰ってくださる方のお住まいに
採り入れていただきたいって思えるようになりました。

「どちらの素材でもメリットデメリットを理解して素材を選んでもらう」
ということが一番大切で、、
そんな風にお客さまとコミットできるやりとりを
自分自身が関わる家づくりでしたいなぁと望んでいたのでしょう。
と、、この頃の自分に教えてあげたいですね・・・(笑)

テリーさんの愛あるコメント!ホント有難いです。
いつもどうもありがとうございます!!

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プロフィール

写真:牛尾 出美

一級建築士
牛尾 出美
(ウシオ イズミ)

1973年2月生まれ。暮らしと家が大好きな女性建築士。東京都江東区のリノベーションしたSOHOマンションで住宅設計事務所を運営。
シアワセを感じるコト&モノは、猫・カメラ・旅・花・珈琲・映画・読書♪

いいひ住まいの設計舎 一級建築士事務所

代表:
牛尾圭一、牛尾出美
資格:
一級建築士2名
構造設計一級建築士1名
一級施工管理技士1名
住所:
東京都江東区東陽2-3-1-106
電話:
03-3648-5711
FAX:
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