木の家リフォームを勉強する本_出版記念セミナーでの学び

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東京早稲田にある、赤レンガ組石造の建物、、スコットホール。

ヴォーリズの設計原案によって、1921年に建設された建物。
多くの人の寄付や協力によって、耐震補強や外観の全面改修保存が行われ、、
当時の美しい佇まいが現在に残っているそうです。

先週の金曜日、ここで開催された
「木の家リフォームを勉強する本」の出版セミナーに参加してきました。

この本での「 木の家リフォーム 」 とは、
一戸建て、集合住宅に関わらない、木を使ったリフォームを指します。

一般の方々向けに出版された本ですが、分かりやすく書かれていて、
プロでも、大変参考になる本でした。

多分、ここまで分かりやすく、
色んな事例と共に、どう実践したらいいかを掲載されている本は、
今までなかったのではないでしょうか。。。

そう!「暮らしと家」 共同主宰者の、オンドさんも、
全国の木の家リフォームの達人達として紹介されているんですよ♪
このセミナーも、オンドさん、スピカさんに誘われて行ってきました☆

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この本ができたきっかけの背景になっているのが、、
英国の建築病理学の存在。

建築病理学とは、、
「建物の劣化を診断し、評価する、、、その技術を体系化すること」

イギリスでは、古い家に住むことが当たり前で、、
新しい建物を一般庶民が建てるようなことはまず無いそうです。

人が住まいを得るためには、、、
新築ではなく、リフォームが、基本。
その際、どうリフォームするかの指針がきちんと整備されている。。。

加えてイギリスには、良質な住宅を提供することを目的とし
住環境の改善を目指す 法制度の取組みが あります。
( 以前、いいひブログでも紹介しましたが…)

【 BRE:HHSRS 】 
「 Housing Health and Safety Rating System 」の略。
「健康」から バックキャスティングして 施策を決め 制度をつくること。

段差、寒さ、湿気、カビ、防犯、設備、火災、、、
もろもろ家を取り巻く危険性を排除すること。

この施策は、、
国民の健康にも繋がり、医療費の増大も防げるという目論みがあること、、
らしいのですが、
このコトを知ってから、建築と健康という繋がりを意識すること、、
あたりまえなことだけど、まだまだ認識されていない日本でも、
今後必須なことになってくるだろうなぁ…と心に留めていました。。

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この本のプロジェクトチームも、
日本でも、その建築病理学を採り入れ、、
「住宅医」 の育成を目指し活動している方々です。

住宅医とは??聞き慣れない言葉なので、少し説明をさせていただきますね。

人間でいえば、具合が悪くなること = 建物が劣化して修繕が必要になること

悪いところを治し健康になるために、医者にかかり治療をすること
    =悪いところを修繕し、住みよく改修することがリフォームにあたること

住まいも、リフォームをする前に、どんな状態になっているか、、
いわば健康診断をする必要があること。。
住まいのお医者さん的存在が 「住宅医」という感じらしいです☆

セミナーでは、
建築病理学から住宅医ネットワークへの繋がり。。
この本が出版されるきっかけ。。
この本に事例紹介されている、、つくり手の方々の、
リフォームへ取り組む際の姿勢と想い。。

目一杯な2時間。
とっても勉強になった2時間でした。

中古住宅を買って、リフォームして住まうこと。
その判断基準をキチンと示せるプロの存在。。
不動産屋さんでもなく、、リフォーム屋さんでもなく、、
診断できる建築の専門家の存在が、「住宅医」にあたるのだと思います。

 ☑ 地震に対しての安全性 (耐震面)
 ☑ 劣化に対しての対処方法 (耐久性)
 ☑ 暑さ・寒さへの対処方法 (温熱環境)
 ☑ 加齢への対応 (バリアフリー)
 ☑ その下に、、設備の入替、、内装の美装など、、

毎週のように入ってくるチラシには、、
リノベーション済マンション公開中!!と謳われています。
新築同様、、でも、ビニルクロス、、ピカピカの床、、最新設備入替!!
それだけじゃない選択肢、、

例えば、、
木のぬくもりや塗り壁といった、、素材感のある住まい、、
素材のチカラで、結露がしなくなる室内、、
ヒートショックがなくなり、温熱環境がよくなること、、
これを叶えることが、古い家では、はなから無理だと思っている方も少なくありません。

こうしたリフォームの方法論が、世に示されたことは、
住まい手にとって、選択肢が広がることに繋がって、、
とても素晴らしいことだと感じました。

いわゆるリフォームを言葉を変えていうと、
「住み継ぐ」、、「再築」、、
言葉的にも美しく、素晴らしいことに聞こえます。

ただ、古い家ならではのリスクがあることを理解することも必須!!

実際に、キチンと不具合をあぶりだし、
検討を重ねたうえで、どうするかを決めて、手を施さないと、、
結果、中途半端になってしまい、、
我慢して住む … 美学 のようになってしまいます。
( それだけ、古い家を維持していくことは大変!!! )

そうならないため、、判断する時の助けに、
設計事務所の存在が活きてくればいいなぁと感じます☆

新しく建てる家も、リフォームを知っていると、
どんな風に建てなければいけないのかが、自ずと判ってくる。
ここのところ、ずっと考えてきたループに、意味が見出せたセミナーでした!

どんどん世の中が、これまでとは違う価値観を大切にして、、
良い方向に目を向けていくように感じるこの頃です!

  
  家での日々の暮らしが心地よく、、
  住む人の幸せに繋がりますように、、
  心を込めて ♪ (出美)



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プロフィール

写真:牛尾 出美

一級建築士
牛尾 出美
(ウシオ イズミ)

1973年2月生まれ。暮らしと家が大好きな女性建築士。東京都江東区のリノベーションしたSOHOマンションで住宅設計事務所を運営。
シアワセを感じるコト&モノは、猫・カメラ・旅・花・珈琲・映画・読書♪

いいひ住まいの設計舎 一級建築士事務所

代表:
牛尾圭一、牛尾出美
資格:
一級建築士2名
構造設計一級建築士1名
一級施工管理技士1名
住所:
東京都江東区東陽2-3-1-106
電話:
03-3648-5711
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