近山スクール東京 初日

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10月13日 土曜日から、

近山スクール東京2007の講座

が始まりました。



今年は豊洲の芝浦工大キャンパスです!



ちなみに、このイラストは

事務局の北島翠さん作画。

とっても可愛らしいですよね~。



このブログをUPするのに、もう、一週間経ってしまいました。。。

でも、今回も興味深い内容だったので、是非ご紹介したいと思います!



「木造住宅を基礎から学ぶ講座」 

毎回 13時~17時まで4時間たっぷりと、二人の講師の先生のお話を聞き

さらにテーマについて、、フリートークで色々な側面から受講者含め語り合います。



今回の講義は、、、



「山の仕事と山の恵み・くらし」  講師 原薫 先生

「地域材をまちにつなげる 国産材の規格化と現し型住宅」  講師 戸塚元雄 先生



面白かったですよ~!!



昨年の第1回目の講義 松村秀一先生(東大で工務店研究されている)

から続く内容のお話だったことがまず感動~!!だったのですが、、、そのことは又。



今の日本の住宅業界って、世界でも例がないくらい珍しいそうです。

なぜならアメリカだったら、2×4が主ですよね。

と~っても広い国。気候だって様々ですが、構法は混在していないのです。



変わって日本は、在来工法から2×4。外断熱・内断熱の違い。

それこそ、多種多様な家づくりが混在する国。

(なぜそれが、成立しうるのか、、というところも説明してくださっていました。

このお話も非常に面白いのですが、、長くなってしまうので、また今度。。)



で、日本は一見すると選択肢が多くて、お施主さまの立場からすると、

有り難いような気もしますが、、、、実際には違う。

そのあまりの選択肢の多さゆえ、「家づくりラビリンス」に

はまってしまう方も、多いのです。。。



家づくりを考えて、初めて出合ったところ(ハウスメーカーさんなど)の

家づくりの仕組みに疑問をもつことがなければ、

家づくりのエスカレーターにスウッ~と乗れます。

完成まで、きっと楽に進めるはずです。

(モチロンそれなりの大変さはありますが)



でも、一度疑問を持ってしまうと、もうその疑問を解消しないと前には進めません。

そして、家づくりに対する純粋な探求心が芽生え、自ら納得したくなるんですよねー。

決められたレール(ハウスメーカーさんや住宅会社さん)からそれてしまうと

家づくりがラビリンスになってしまう。。。



前職から、そんな方々が抱える悩みや不安と併せ持つ家づくりにかける夢を

随分と見てきました。

木の家を建てることが、ある種特殊なことになってしまっています。

本当はそうではないと思うのですが、、、



で、その摩訶不思議さの、要因は何なんだろ?という理由が分かったのです。



それは、、、、



「多種多様な家づくりの構法があるゆえ、材料が規格化されていない」 こと



どうやら、これが諸悪?(、、、ですよね) の根源らしいのです。

規格化されていない  品質が安定しない → コストが下がらない

→ 家が建てにくい (住み手) → 木を使ってもらえない (山側)



設計者の自由意思のもと設計し使われていた材料選択が、

実は、山側や住み手に多大なシワ寄せを与えていた。。。



多分、一般の方からみると、

「え~。。。そんな理由?規格化しているのが当たり前でしょ~」 と

思うかも知れません。

また、もしそのことが原因で、

木の家が手に入りにくいモノ、高いモノになっているんだとすれば

「そんなふうに頼んだ覚えはないよ~。経済的に建ててよ~」

っていうのが、お施主さまの本音でしょう。



でも、現実は、違うんですねー。

「材を規格化して使う」 という

当たり前のことが、当たり前として成り立っていない。

こんな現実があるのです!!



そして、山側の現実をありありと語ってくださったのが、

林業素材生産者として、山に生きる原薫さん。

女性ながら、実際に山で木の伐採をされています。

(とってもナチュラルで素敵な女性です)

去年の講座に参加されていて、今年は講師を勤められました。

彼女の平たい視線でみる山の現状は、本当に理不尽で、、、

何とかしなければ~~!!と声を大きくして、皆さんに伝えたくなる内容でした。



近山スタイル(近くの山の木で家を建てよう!) 的な家を建てたい。

単に、木をふんだんに使った家に住みたい。

出来れば、国産材の木の家がいいな~~。。。と思っても、、

大半の方が、コスト面が合わなくて諦めてしまう。

または、つくり手と出会えないで諦めてしまう。

残念ですが、、、それが、現実です。



戸塚先生のまとめられた「れいほく規格材」は

それを解消するために、木の規格化をルールとして共有して

エンドユーザーの住まい手に、いい家を安価で提供しましょう!という趣旨。



構造材のみならず造作材も、新建材のような分かりやすさで出回れば、

もっともっと国産材が当たり前に使われていくんでしょうね。。。

(だって新建材の家づくりに日本中が慣れてしまっているんですもの)

(私もそうですが、、、)

一般の工務店が、国産材を使わない理由のひとつに、

手に入れるルートが分かりにくいという問題点も大きいと思います。



戸塚元雄先生 国産材プロデューサー・一級建築士

国産材プロデュースのための「木庸社」を立ち上げられた方です。

既にルールは作って、つくり手側・素材生産者側に示されました。

後は、いかに、一般の建築利用者(住まい手)にその情報を伝えていくか?

「伝わる努力より伝わる工夫を」

それがこれからの課題だと、仰っていました。



講義の後の、懇親会の最後で、ちょっぴりお話させていただきました。

素晴らしい取り組みです!!

分かっていても誰もがやらなかったことをまとめられた。。。

この功績って凄いんじゃないでしょうか??!!



とにかく、先生のお話がストーンと腑に落ちたことをお伝えしたくって、、、

私の文章じゃ伝わらない?(笑)



最後に、講義のプリントの中にあった文章から抜粋。
内田祥哉 著 「現代建築の造られ方」 より



建築家が自分の個性を最大限主張するために

束縛を嫌うのは当然ですが、どんなに厳しい約束や規格があっても

建築家の個性が発揮できないことはないのです。



一般の建築利用者は、建築家の個性を多少束縛しても

多様で、フレキシブルなほうがよいと考えています。

この規格材の話をすると、必ず、建築家サイドから批判的な意見が出るそうです。



でも、上の文章が全てを語っていますよね。

どんな視点で、家づくりをするべきなのか、、、



そこまで、見越した戸塚先生のロジカルな講義は本当に面白かったです!!

 

こうして、学んでいることを少しでも実務に活かせる日が来るように

頑張りましょー!! (出美)



追記: 近山スクール東京の北島さんが、この講義内容を

分かりやすくホームページ内でまとめていらっしゃいます。

是非、ご覧になってみてくださ~い!! 

→→ 近山スクール東京 ニュース

Comments [2]

ご無沙汰しています。
また東京の近山がはじまりましたね。
病院のベッドの上で行きたいよ~~~と
うなっていました。
ぼちぼちと体調も戻って来たので、
また勉強をしに行きたいなと思っています。

またいろいろと教えてくださいね。

すぎのさん!書き込みありがとうございます~!
お元気になられたようで何よりです!!
私も勉強だけじゃなく実務に活かせるよう
マイペースですが頑張っています。
またお話できるのを楽しみにしていまーす!!

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プロフィール

写真:牛尾 出美

一級建築士
牛尾 出美
(ウシオ イズミ)

1973年2月生まれ。暮らしと家が大好きな女性建築士。東京都江東区のリノベーションしたSOHOマンションで住宅設計事務所を運営。
シアワセを感じるコト&モノは、猫・カメラ・旅・花・珈琲・映画・読書♪

いいひ住まいの設計舎 一級建築士事務所

代表:
牛尾圭一、牛尾出美
資格:
一級建築士2名
構造設計一級建築士1名
一級施工管理技士1名
住所:
東京都江東区東陽2-3-1-106
電話:
03-3648-5711
FAX:
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