軽井沢・辻邦生山荘をスケッチ_吹抜け・スキップフロアの空間・夫婦それぞれの書斎の意図

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軽井沢町が認定する
歴史的価値のある建築物に貼られるブルー・プラーク。

ー 辻邦生・佐和子夫妻の山荘(1976年~) 
  所在;軽井沢町三笠
  設計:磯崎新 

作家の辻邦生さんの山荘で、
友人である磯崎新さんが設計した木造の家。

軽井沢・文学・建築好きな友人に誘われ
初めて訪れたのは2015年の秋。

土地の高低差を活かしたスキップフロアの空間構成と、
木の家の簡素な佇まいがたまらなく好きになり...
以降、軽井沢高原文庫さん主催の見学会に4回通って
まとめた見学メモとスケッチになります♪

写真NGだったので行く度に空間構成をメモ。
数年越しにスケッチが完成したので...(^-^;
今日はこちらをUPさせていただきます。

↓ 画像の下にPDFデータを置いてあります


tsujisansoukaruizawa.jpg

↓↓ PDFデータはこちら ↓↓
tsujisansoukaruizawa.pdf

互いの書斎からパブリックなLDKに向かう接点。
辻夫妻が「コンコルド」と呼んでいらした場所にて。

記憶を辿って描いたラフスケッチなので、
ちょっとおかしな部分もあるかもですが...(^-^;

雰囲気が伝わると嬉しいです!

↓ 2022年に参加した見学会で撮った写真たち。
( この時は外部のみ撮影OK )

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道路から下がっている傾斜地の土地。

道路から見ると、通常の1階分にも満たない高さ。
羽目板張り・緩やかな金属屋根といった軽井沢らしい木の家。
( この風情が本当に好きです )

IMG_1329.JPEG

元々土地に在った木を残して建てられたのですね。
木に合わせて屋根がくりぬかれています。

↓ リビング前の半円形テラス。

IMG_1346.JPEG

写真の中にもメモを入れましたが、
リビングの約9尺幅の大きな木製の雨戸を
円形に沿って動かして開閉する仕組み。

このテラスから見下ろせる位置に
↓ ↓ 磯崎新さんの別荘群。

IMG_1340.JPEG

このテラスに纏わる生前のエピソードが、
見学会でいただいた資料にあったので抜粋させていただきます。

「 辻邦生と暮らして 」佐保子夫人著 より
- 毎朝この雨戸をゴロゴロ開けては、下の家の磯崎夫妻に「おはよう」と声をかけていた。私たちは、夏はまるで大きな緑の鳥かごに住んでいるような気分になった。

その文章を読みながらその場に佇み想いを馳せる...

 既に過ぎてしまった時間だけれど、
 家自身がその時間を記憶しているようで、
 その情景がありありと浮かぶ。

と、その場で感じたことをメモしてありました(*^-^*)

↓ こちらは見学会に参加しながらのスケッチ。

IMG_1372.JPEG

いずれにしてもラフなスケッチと
イマイチな写真だと良さが伝わらないと思うので...(^-^;
磯崎氏が山荘設計の意図を語っていらっしゃった文章があったので、
そちらも抜粋させていただきます。

-「軽井沢の不思議な家」 磯崎新さんと奥さま佐和子さんの文学サロンより抜粋。

ー 磯崎 では、どういうふうにこのお宅を 設計したらいいかと、僕自身もあれこれ考えてみました。最初に、お二人のものを書く方、作家と研究者といいますか、 両方とも学者ですね。お二人が住んで、全く別のお仕事をなさる。黙って仕事をされているのかどうか、僕には分かりませんが、どちらにせよ、同格にならないといけないだろう。そこで、二つの仕事部屋を二階部分の両端につくる。そして、その真ん中は、全体が崖地なものですから、中二階的な扱いになっている。そこから下がっていくと、下の階に、居間や、食堂や、寝室というようなものがあって、またさらにその寝室の下には、今、書庫になっているような、倉庫がある。一つの家でありながら、中にいくつも部屋のレベルがあるという複雑な建物になっている。それは地形からきているのですね。ですけど、この時に二つだけ、独特の解決をしたいと考えました。お二人が立ったら相手が見えるけれども、座ったら全然見えないという高さで、部屋を区切るということ。その中間に、できるだけ大きな窓をつくり、ちょうどそこから見ると、そこは三笠なのですけれども、三笠というところは、本来浅間山が見えない 場所なのですが、その浅間山が、お天気のいい日は丘の上にちょっと頭をのぞかせるのですね。そちらの方向に開いて、窓をつくるということ、この二つのことを考えた。それだけのことです。(後略)

 リビングから
 2段上がったところがダイニング。
 その上が奥さま佐保子さん書斎。

 ダイニング上部は吹抜け。

 ダイニング奥にキッチンと水周り。
 その上が辻邦生さん書斎。

高低差が生む空間の面白さ!
ホント何度訪ねても好きだなぁと感じる家♪

記憶に残る理由のひとつとしては...

室内には辻夫妻が住んでいた頃の調度品が
おふたりが使っていたそのまま残されているので、
家に宿る暮らしのぬくもりが感じられるからですね。

 暮らしが入ってこその家。
 そして...
 愛される家だからこその空気感。

そんな家をのこしていけるように私も頑張ろう(*^-^*)


  読んでくださった皆さまにとって
  笑顔が生まれる
  いいひになりますように♡

  家での日々の暮らしが心地よいことが
  住む人の幸せに繋がります!!

  心を込めて ♪ (出美) 


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≪ 編集後記 ≫
軽井沢の古い木造別荘建築が好きです。老朽化して壊されていく別荘も多いと思いますが、こんな風に保存してほしいなぁと心から思います。遺せなくても写真だけでも遺してほしい。もし、そんな軽井沢木造建築の本(写真充実してると嬉しい)があったら絶対にほしいです(≧▽≦)高原文庫さんで出版されないかなぁ...。さてさて、なぜ今日このスケッチを仕上げたのか?というと...先週、青山のポーラ敷地内に移築された土浦亀城邸を見学させてもらう幸運に恵まれました!こちらのスキップフロア具合も、と~っても好きだったので、スケッチ描こうと開いたノートに辻邦生山荘が途中まで描いてあったのを久しぶりに発見した次第(^-^;そしてスケッチ完成させました!...楽しかったです♪( ←ちゃんと仕事もしなさーーーい(^-^; )三連休明けて、やっと風邪が完全に抜けたと感じ。久しぶりの珈琲がうますぎます(笑)

≪ 過去ブログもよかったらどうぞ♪ ≫
「 ヒアシンスハウス 」
「 軽井沢・レーモンド夏の家_私の好きな家♪ 」
「 旧軽井沢で古い別荘建築散策♪_室生犀星記念館/旧サロモン別荘のカフェ/ショーハウス_信州ドライブvol.2 」
「  西の魔女おばあちゃんの家_このGWが最後。。」

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プロフィール

写真:牛尾 出美

一級建築士
牛尾 出美
(ウシオ イズミ)

1973年2月生まれ。暮らしと家が大好きな女性建築士。東京都江東区のリノベーションしたSOHOマンションで住宅設計事務所を運営。
シアワセを感じるコト&モノは、猫・カメラ・旅・花・珈琲・映画・読書♪

いいひ住まいの設計舎 一級建築士事務所

代表:
牛尾圭一、牛尾出美
資格:
一級建築士2名
構造設計一級建築士1名
一級施工管理技士1名
住所:
東京都江東区東陽2-3-1-106
電話:
03-3648-5711
FAX:
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